荒茶生産量全国第2位を誇る鹿児島県。
その鹿児島県曾於市ということろでこだわりのお茶作りをされてる
末吉製茶工房さん。
原材料として使用している茶葉は、すべて地元の鹿児島県産。
鹿児島県と宮崎県との県境にあり、壮大な霧島連山を望む自然豊かな山間の土地にある曽於市(そおし)は、高級茶の産地として有名な京都と比較的似た地理的条件、気候条件を有しています。
すなわち、曽於市は、盆地(都城盆地)の一帯に属しており、一日の寒暖差が大きく、かつ、山間に位置しているのですが、これは京都と同様の条件。
そもそも曽於市を含む都城地域でお茶作りが始まったのは、江戸時代の当時から高級茶の産地として有名だった京都宇治と地理的条件、気候条件が非常に似通っていることに目を付けた都城島津藩士の池田貞記が、宇治から製法を学んで広めたことが始まりと言われています。何百年もの昔から、曽於市は高品質なお茶を栽培するのに適した土地として認識されていたのです。
末吉製茶工房では、昔から茶草場農法と同様の農法を契約茶園の多くで採用しています。茶草場農法とは、静岡県で主に採用されており、茶園の畝間にススキやササを主とする刈敷きを行う伝統的農法で、2013年には世界農業遺産にも認定されました。茶草場農法は、非常に手間暇のかかる農法なのですが、
- ・敷かれたススキ等が分解され有機質堆肥となることで、茶の味や香りが良くなる
- ・土中微生物の繁殖を助けることで土壌が改善される
- ・土壌肥料の流亡を防ぐため、肥料の過剰施肥に頼らない生育が可能となる
- ・雑草が生えにくくなる除草効果
- ・夏は保湿、冬は保温効果
- ・作業機械での踏圧抑制効果
等といった利点があり、茶樹へのストレスを抑え、健康的な茶樹の生育に繋がっています。また、人の手で維持管理された茶草場は、近隣地域の豊かな生物多様性の保全にも貢献すると言われています。
収穫前の1週間前後、茶園を遮光資材で覆い、日光を遮って生育する「被覆栽培」を主に採用しています。被覆栽培によって栽培されたお茶は「冠せ茶(かぶせちゃ)」と呼ばれ、重労働で手間暇はかかりますが、茶葉の緑色が通常よりも濃くなり、渋みが少なく旨みを多く含むようになります。(なお、被覆期間をより長くして栽培されたお茶が「玉露」や、抹茶の原材料になる「碾茶(てんちゃ)」です)
ただし、被覆栽培は、光を強制的に遮るという自然の世界では不自然なことを行うため、日光を遮らずに露天で栽培する茶樹と比べると収穫量は落ちてしまいます。手間暇がかかる上に、収穫量も減少してしまいますが、それでも、末吉製茶工房ではお茶の味や香りを重視し、被覆栽培を行っています。
また、茶樹も人間と同様、環境や条件によってのびのびと育つ場合もあれば、疲労を蓄積してしまい個性を最大限に発揮できない場合もあります。被覆栽培も、美味しいお茶ができるからと過度に長期間にわたって行えば、茶樹に相当なストレスを与えてしまいます。末吉製茶工房では、皆様に美味しいお茶をお届けしたいという思いと、美味しいお茶は健康的な茶樹から生まれるという考えから、日々、茶樹を観察し、過度なストレスがかからないように長期間にわたる被覆栽培を避け、時には茶摘みの回数を減らしたりと、バランスを見極めた栽培に取り組んでいます。