当店でも、長くお取り扱いしてきました松山油脂さんを、今回あらためて紹介します。
こだわりをもって丁寧に作られている過程をぜひ感じていただけると嬉しいです。
松山油脂は、安全性と環境性、そして有用性のバランスを満たすことだとの考えのもと製品づくりをされています。
ほとんどを、釜焚き製法でつくっており、昔ながらの石けんのつくり方で、釜で石けんを焚き上げることから「釜焚き製法」と呼ばれる製法です。
「鹸化」とは、天然油脂がアルカリと反応して石けんになることです。1回の鹸化で約5トンの固形石けんの素地をつくります。
鹸化用の釜の直径は2メートルもあり、機械では計測しきれない、微妙で瞬時に変化する反応状態を目で見て確かめるためには、この大きさが最適な規模であると考えています。鹸化の後は、天然塩を加えて石けんと不純物を分離させ、未鹸化物の反応を進める塩析・静置、さらに仕上げ塩析を行ない、刺激になる要素をできる限り取り除きます。原料を釜に仕込むところから、石けんとして仕上がるまでに百時間。伝統の製法を守っています。
石けん素地は、98.0%の純石けん分と、1.2~1.7%のグリセリン、0.3~0.7%の食塩、0.3%以下の遊離アルカリ・不鹸化物でできています。洗い上がりのつっぱり感をやわらげるのがグリセリン。原料の天然油脂に含まれていて、石けん素地に溶け込んでいます。この石けん素地に天然精油や植物エキス、植物末、天然色素などを配合した石けんをつくっています。紫外線や温度で変化しやすい素材ですが、ほんのりと広がる香りや、植物を思い出させる色を生み出してくれます。毎日肌に触れるものだから、使う人の心までが自然に、おだやかになれるものを。そう考えて素材を選んでいます。
低温でも液状を保つ必要がある液体石けんは、固形石けんとは異なる油脂でつくります。液体石けんの原料として最適な脂肪酸組成である植物性油脂を選択。それらを苛性カリ(水酸化カリウム)で鹸化する釜焚き製法でつくっています。
そしてすべての製品は、幾度かの中間品検査と最終品検査、出荷直前まで続けられる検品により、品質が保証されます。釜で焚く、乾燥・熟成させて成型する。昔ながらの石けんづくりは、想像力と、一見単純な作業の丹念な繰り返しです。標準書に従って、原料を投入し、混合する、乳化する、充填する、包装する、箱に詰める。そして記録する。どの作業でも機械は補助役にすぎません。スタッフひとりひとりが主体的にモノづくりに携わり、自分の手を動かしながら、製品が規格に合っているか、目を光らせています。キメの細かい工程管理が可能な、少量生産を続けているのは、遠回りのように感じられても、お客様にご満足いただける製品をつくるためには、それが一番の近道であると知っているから。品質は、常に最優先事項です。すべてのスタッフが、自社製品の品質に責任をもち、常にお客様と同じ視点で、製品や自分の仕事を見つめなおすことを心がけています。品質は、スタッフ全員の意識の総和であると考えます。